
部屋と窓を南向きでつくることは家づくりの大前提の一つですが、この当たり前が正解かどうかの答えは家を建てる土地によって違ってきます。
例えば、住宅が建ち並ぶ密集地でこの前提のもと家を建てるとなると、日当たりが良い南向きの土地であれば、そこから日が差し込んでくるものの同時に視線まで差し込んでくることから、結局窓をカーテンで閉じてしまうことになるし、南向き以外の日当たりが悪い土地であれば十分な光がそこから入ってこないという悲惨な状況を招きかねません。
そんなわけで弊社では、その大前提に縛られることなく、その土地ごとに最適な光の採り入れ方をご提案させていただくようにしています。そして、基本カーテンいらずの明るく開放的な住まいを実現させていただいています。
では今回は、「部屋も窓も南向きにしないといけない」
という強迫観念に縛られないようにしていただくために家を建てる前に知っておいた方がいい事実についてお伝えしていきたいと思います。
間違った固定概念
まずお伝えしたいことが部屋の向きについてです。
一般的には部屋を南向きでつくり水回りを南以外でつくるというのが世間の常識となっていますが、そもそも寝室や子供部屋を南向きでつくる必要はありません。寝室は、文字通り寝るだけの部屋であるため太陽が沈んでいる時間帯に使う部屋だし、子供部屋に至っても子供たちは昼間学校に行っているし、かつ帰ってきても寝る寸前までリビングで過ごすため、これまた寝る時しか使わないからです。
また、受験生となり自分の部屋で勉強するとなっても、朝から夕方までずっと光が差し込んでくる南向きの土地では直射光が邪魔で勉強に集中出来ないでしょうしね。(仕事場でも日光が当たりすぎる場所ではデスクワークがやりにくいですよね?)
他方、一般的に水回りは北に配置されがちですが、これも個人的には水回りスペースこそ日当たりや風通しを考慮した上でつくるべきではないかと考えています。脱衣室で室内干しするとなれば風通しがいい方がよく乾くし、少しでも日光を当ててあげた方が除菌効果もあり、洗濯物の生乾きの臭いが発生しにくいからです。水を使うスペースは日が当たった方がジメジメ感も解消出来るでしょうしね。
そんなわけで、土地に合わせたいい間取りを一緒につくりあげていくために、まずはこういった当たり前を頭の中から取り除いていただきたいと考えています。
光は直射光だけじゃない
そして、もう1つ知っておいていただきたいことが、光の種類は「直射光」だけじゃないということです。
オフィスや店舗などは北向きの方がいいと言われていますが、これは北からの光は「天空光」と呼ばれる空気中の塵や水蒸気に反射して拡散されていく光で、天候に関係なく安定した光を届けてくれるのはこの光だからです。
ゆえ、室内に安定した光を届けるためには「直射光」だけに頼らず「天空光」を上手く使うことが不可欠であることも覚えておいていただければと思います。
これらを知っていれば、過度な「南向き信者」になることもないし、土地に合わせた部屋の配置や窓のつくり方が出来るようになります。そして、基本カーテンがいらない明るく開放的な住まいをつくることが出来るようになります。
そんな家を建てることが出来ればさらに「質」の高い暮らしをしていただけるのではないでしょうか。
それでは、、、
追良瀬