
アパート・マンションの収納不足問題は、どんどん荷物が増えていく子育て世代にとってなんとも悩ましい問題ですが、とはいえ、新築時に収納をつくり過ぎると2つ別の問題を発症します。
1つは「コスト増加問題」。
収納が増えれば家の床面積が増える。そして、家の床面積が増えれば家の価格が増えるからです。
もう1つは、「さらにものが増えやすくなる」という問題なのですが、これは、そもそも人が余白(空白)を埋めたくなるという習性を持っているがために発生する問題です。
おそらく経験があるかと思いますが、スーパーで買い物カゴを持ったが最後、カゴの余白を埋めるためについつい買わなくていいものまでついでに買ってしまうのと同じですね。ゆえ、収納をつくる時は「無さ過ぎて困らないように、でもつくり過ぎて別の問題を引き起こさないように」の丁度良い塩梅のところを攻めていくことが大切な要素となります。要は、コストと機能性のバランスを図ることが大切だということですね。
では、そのためにはどうすればいいか?それは、まず収納づくりの焦点を「管理がしやすいこと」に当てることです。
例えば、アパート・マンションなどに多い「押入れ」と呼ばれるいわゆる奥行きが深い収納は、「管理がしやすい」に焦点を当てた場合決して「Yes」ではありませんよね。
子供部屋や寝室などは布団を置くことがあるのでともかくとして、リビングやキッチンといったいつもみんなが過ごすところにはそもそも奥行きが必要なものがなに一つないからです。
ゆえ、収納づくりでは棚の奥行きを出来るだけ浅くしていただくことをオススメしています。
棚の奥行きが深くなると、置いたものの手前にさらにものを置いてしまいやすくなり、結果、奥のものが取り出しにくくなったり、奥に置いてあるものが分からなくなり、あるのにまた同じものを買ってしまうという悪循環を生み出す原因になってしまいますからね。
結論としては、奥行きを半分にし、その分幅を2倍にする。これが最良の手段ではないでしょうか。
床面積を増やすことなく(=コストを増やすことなく)収納量が単純に2倍になるからです。かつ、手前に被ってものが置けないため自然と管理もしやすくなる。そして、高さも配慮しながら棚の枚数を増やしてやれば、さらに置けるものの量が増えるというわけですからね。
なにも考えずに収納をつくった場合より、コストを上げることなく分量を3倍にも4倍にも出来る、かつ管理もしやすくなり無駄な出費の連鎖も防ぐことが出来る、素晴らしい方法だと思います。
✔️廊下をなくす
管理のしやすさを意識して収納をつくるようにすれば、床面積を増やすことなく収納量を増やすことが出来るのですが、とはいえ、せっかく合理的に増やした収納量をあっという間に減らしてしまうのが「通り抜け動線」です。
「通り抜ける=通路(廊下)が出来る」
→「廊下が出来る=壁が使えなくなる」
→「壁が使えない=棚がつくれない」
→「棚がない=収納として機能しない」
ことになるからです。
ゆえに、通り抜け動線に関しては、「その利便性は収納量を減らしてまでやる価値があるのか?」まで一歩踏み込んで考えていただいた上でご採用いただくことをオススメしています。
それによって収納が減り、それをカバーするために別で収納をつくるなんてことになればコストアップの原因となってしまうし、その予算をカットした場合、収納不足に悩むことになるかもしれませんからね。
以上、これから家づくりをされる方は
これらを意識しながら図面を見るようにしていただければと思います。
それでは、、、
追良瀬