
行き過ぎた円安を防ぐために開き過ぎたアメリカとの金利差を埋めること、そして行き過ぎた物価上昇を防ぐために、日本も利上げを進めていこうとしていることから10年固定と全期間固定の住宅ローンの金利がジワジワと上がっていっています。
この2つの住宅ローンは長期金利に連動する商品ですが、長期金利が1%を超えたとなると日本の10年物国債の利率も1%を超えることになり、そうなれば銀行は国債の利率以下でこれらの住宅ローンを貸す理由がなくなるからです。
銀行側からすると、国債より低い利率で住宅ローンを貸し出すぐらいなら、安全資産である国債を購入した方がいいという結論に至るのが当然の流れですからね。
というわけで、これから10年固定の住宅ローンを利用しながら家を建てる方は、これまでの方に比べ0.5%前後高い金利で住宅ローンを借りることになり、残念ながらその分返済負担が上がってしまうわけですが、今後もインフレの流れが継続し金利が上がっていく可能性が高まっていることを考えるとそれを想定した上で住宅ローン選びをした方がいいのではないでしょうか。
4000万円借りるとしたら
現在、土地から買って家を建てるとなると、おおよそこれくらいの予算になると思われますが、ではこれを40年返済で借りるとして10年後に金利が1%上がり、さらに10年後に金利が1%上がり、その後はその金利が続くとしたら、10年固定で住宅ローンを組むのと全期間固定住宅ローンを組むのとではどれくらい差が生じるのか簡単に試算してみますね。
・10年固定金利の場合(ボーナスなしで計算)
当初10年間 金利1%→毎月101,142円
11〜20年 金利2%→毎月116,230円
21〜40年 金利3%→毎月127,423円
これらを全て足してみると
101,142円×120回+116,230円×120回+127,423円×240回=56,666,160円
となり、払った総支払利息は16,666,160円ということになりますね。
・全期間固定金利の場合(ボーナスなしで計算)
全期間 金利1.5%→毎月110,869円
110,869円×480回=53,217,120円となり、払った総支払利息は13,217,120円ということになり、仮に金利が上がっていく可能性が高いと思うなら全期間固定にしておいた方がいいということになります。(全期間固定金利の場合、最初に融資手数料を余分に支払わないといけないので、それも考慮しないといけませんが)
他方、この金利上昇は一過性のものであり、今後もこれまで通り景気なんて良くなる見込みが少なく、金利は上がるどころか平行線もしくはまた低くなるとお考えの方は、少しでも金利が低い住宅ローンを選んだ方がいいということになります。
というわけで、これから家を建てる方は今後を踏まえた上で住宅ローン選びをしていただければと思います。
家計を左右するもう1つの存在
そして、家を建てるにあたり検討していただきたいもう1つのことが太陽光発電の設置です。順調にインフレが進んでいる現在の日本の状況を踏まえると、今後も電気料金単価が上がっていく可能性が高いことが考えられるからです。
やがて終わりがある住宅ローンと違い電気料金には終わりがないし、電気料金は住宅ローンとは比べ物にならないぐらい急激に上がることがありますしね。戦争や気候変動といった不可抗力的な理由によって、です。
先程の住宅ローンシュミレーションでは、300万円ほど支払いの差があったかと思いますが、太陽光発電を設置したか否かによる総支払い電気料金の差は、少なくともその2倍、今後の情勢によったら3倍ほど差が生じるかもしれません。
そして、それらの負担増は確実に今後の暮らしに大きな影響を及ぼすでしょうし、浮いた資金を長期積立投資に回した人とその負担増のせいで長期積立投資がずっと出来ない方では、きっと手持ち金に大きな違いが生じることでしょう。
なので、これから家を建てる方は家計を左右するこの2つのことについても家のこと同様に勉強していただいた上で家づくりをしていただけたらと思います。
それでは、、、
追良瀬